「試合中継が途中から始まって試合途中で終わるスポーツが
野球以外にあるか!」と言われたものだったけれど、近いものがあった。
かつてのプロレス中継だ。

金曜夜8時にはもうタイガーマスクなどの試合が始まっている。
中継が終わる頃に猪木の試合が始まって、実況の古館が
「残念ながらこれでお別れです。ごきげんよう、さようなら―っ!」
と叫ぶ中、ぷっつり中継が終わる。

なぜこんなものが成立していたかと言ったら
・毎日試合が行われるドサ回り興行で、一試合の勝敗などどうでもいい
・スターが動いているのを見たいのであって、勝ち負けはどうでもいい
という感覚が見る側にあったからだ

チャンバラ時代劇でよく知ってる俳優が刀を振り回してザコ敵を
斬り倒しているのがカッコイイのと同じレベル。
日本における野球ってのも全く同じレベルの「芸能」だったわけだ。

だから野球のWBCも、オランダだのイスラエルだののザコ相手に
大勝した試合がいつも最高視聴率を取っている。
世界最高峰のはずの決勝は、知っている選手がいないと深夜送り。

野球は「芸能」であり、だからこそマスコミが持ち上げていないと
簡単に人気が落ちるし、人気が落ちれば誰も相手にしなくなる。
スポーツとしての基準値が存在しないからだ。