ハイエナやヘビといった野生動物は外貨獲得源にもなる? rkraan-iStock.

<漢方向けに儲けは大きそうだが、野生動物由来の製品の取引は人獣共通の新たな感染症を引き起こしかねない>

ケニアのある政治家が、ハイエナの睾丸をはじめとする野生動物由来の製品を輸出する計画を打ち出し、獣医師たちが警告を発している。「パンデミックを引き起こすおそれがある」というのだ。

8月に行われるケニア大統領選にルーツ党から立候補することを表明している弁護士で大学教員のジョージ・ワジャコヤは、野生動物由来の製品の輸出を促進する内容を含むマニフェストを発表して論争に火を付けた。

ワジャコヤは6月30日、ケニヤッタ国際会議場(KICC)で自身のマニフェストを発表した際、ハイエナの睾丸などを輸出することがケニアの経済を押し上げる可能性があると主張した。

「1000頭のオスのハイエナには、2000個の睾丸がついている。中国人は、睾丸を薬にしていると聞いた。睾丸によって、ガンジャ(大麻)よりも多くのカネを得られる可能性がある」と、ワジャコヤは述べたと、地元ケニアのニュースメディア「パルス・ライブ」は伝えた。

犬も売れる

ワジャコヤはまた、「犬は薬になる」とも主張し、大統領に当選したあかつきには、犬の肉も中国に輸出する計画だと明かした。さらに、ヘビを養殖してブラックマンバの抗毒血清を採取すれば、1瓶につき5300ドルもの外貨が獲得できると述べた。

睾丸を含む野生動物の身体部位は多くの国で違法とされているが、中国では現在も漢方薬で使用されているものがある。

ワジャコヤの提案に対して、ケニア獣医連合(UVPK)は反対を表明した。同連合が懸念しているのは、こうした野生動物の取引が人獣共通の感染症を生み、パンデミックに至る事態だ。

UPVKの事務総長を務めるミヘソ・ムレンバニ博士は、声明でこう述べている。「UVPKは、動物に危害を与える政治家の度を越した発言を懸念している。ケニアが、野生動物や野生動物由来の製品を取引できるとするワジャコヤの主張は、非常に憂慮すべきものだし非現実的だ」
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