衝撃的だった安倍晋三・元首相の銃撃事件。
SNSでは、ショックや不安を語る人だけでなく、さまざまな憶測や対立を煽る言葉も飛び交っています。
さまざまな情報に翻弄されそうになった時、私たちはどう対処したらいいのでしょうか?
BuzzFeed Japan Medicalは、筑波大学大学院社会精神保健学分野教授の精神科医、斎藤環さんに聞きました。

(中略)

加害者についての報じ方 ラベリングにつながる情報を小出しにしないで

??加害者については早い段階で取り押さえられ、顔も名前も出て、宗教団体とのつながりなど彼の人となりや供述も断片的に報じられています。
精神鑑定の可能性も出ていますが、加害者像の報じられ方についてはどう見ていますか?

私が見た範囲でも、特定の宗教団体の名前や精神鑑定の必要性、以前、引きこもりがちな生活だったなど、ラベリングにつながりやすい情報が断片的に出ています。これはよろしくないと考えています。

そういうことが、「精神障害者だから危険だ」「精神障害だからと言って免責されるのは許せない」とか「宗教カルトはヤバい存在だ」などの偏見につながります。
そこから、外国人差別やヘイトスピーチの方向に発展する可能性もあるわけです。

もちろん私の専門である引きこもりに対しても、やっぱり引きこもりは危ない人間、という空気ができてもおかしくない。

事件との関連がよくわからないうちから、ラベリングにつながりやすい情報を小出しにするのは慎んでほしいですね。

??ただ加害者がなぜこうした事件を起こしたのかは、皆の最大の関心事でもあります。

私もこう話しながらも、分かっていることを断片的に出さざるを得ない状況なのは理解できます。それを抑え込むのは報道の自由の侵害かもしれないので、あくまでも精神科医としての要請ということです。

ただ最低限、分かっていることと分かっていないことは、はっきり分けて報道してほしい。また、複数見解が分かれることは両論併記してほしい。報道する側で一つのストーリーを作らないでほしいとは思います。
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