参院選は10日の投開票日まで1週間を切ったが、圧勝とみられていた自民党が失速しつつある。

 ラストサンデーの3日、各党の党首が激戦区入り。自民党総裁の岸田首相は午前中に東京都内で街頭演説を行った後、北海道に飛んだ。

 北海道は改選3議席のうち自民で2議席を占める算段だったが、選挙戦中盤になって立憲民主党の候補が勢いを増し、野党が2議席を奪取しそうになっている。岸田首相も慌ててテコ入れしたのだが、北海道以外にも、与野党接戦の選挙区は増えている。

 毎日新聞が2~3日に実施した特別世論調査では、全国に32ある改選数1の「1人区」のうち、序盤で5だった接戦区が8に増えた。改選数2以上の「複数区」でも接戦が4から6選挙区に増加したという。

■保守王国でも自民優勢→接戦に

 驚くのは、保守王国の福井や宮崎でも「自民優勢」から「接戦」に情勢が変わっていることだ。

「福井は自民現職の候補者が80歳と高齢なことに加え、県連内部の対立も影響している。衆院議員の経験もある若手の野党候補が猛烈に追い上げています。宮崎も、元NHK気象キャスターで子育て支援のNPO活動などに地元で取り組んできた野党候補の評判が良く、日を追うごとに支持を広げている。正直言って、この両県は黙っていても勝てる自民党地盤と油断していました。他にも序盤は引き離していた福島や宮城などで差を詰められています」(自民選対関係者)

60議席に届かない可能性も

 岸田首相は4日夜、茂木幹事長ら党幹部を集めて戦略会議を行う予定だ。各地の情勢を分析し、人気弁士や幹部を応援に投入する最終盤の「重点区」を決定するという。

「1人区では青森や岩手、山形、長野、沖縄で野党がリードしている。終盤に向けて野党が盛り返し、新潟、山梨、大分でも勝利が見込めます。岸田内閣の支持率が下落傾向で選挙戦に突入し、この物価高に何の対策も打たない政府を見て、これまで漫然と岸田政権を支持してきた中間層や無党派層が離れ始めています。こうなると、比例でも自民は上積みが期待できず、伸び悩んでいる。全体で60議席に届かない可能性もあり、とても圧勝と言えるような状況ではなくなってきています」(ジャーナリスト・鈴木哲夫氏)

 自民堅調に変わりないとはいえ、あちこちで綻びが見え始めた。あと数日で、ひっくり返る選挙区がまだまだ出てくるかもしれない。

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