SPA! 7/14(木) 15:46

 コンセプト系居酒屋として、一時は圧倒的な人気を誇った「監獄レストラン ザ・ロックアップ」の唯一の店舗である新宿店が2022年7月いっぱいで閉店することが報じられた。

 筆者(30代後半)が20代前半だった当時は、合コンや飲み会を「ザ・ロックアップ」でよく開催したものだ。それにしても、かつて繁華街によく見かけた同店だが、そもそも残存するのが新宿店のみということにも驚きを隠せない。

 誕生した経緯、またここ最近の同店が置かれていた状況について、運営するGYRO HOLDINGS株式会社で広報を担当する設樂碧里さんに話を聞いた。

ディズニーランドのイメージで考えた
「最初にオープンしたのは、京都の『ザ・ロックアップ』1号店で、1999年のことです。外食を一種のエンターテインメントとし、ディズニーランドをイメージしてコンセプトを考えたそうです」

 監獄をテーマとした飲食店として、入店してからもきめ細かなこだわりで、徹底したエンターテイメントを提供していたが、どんなこだわりがあったのか。

「オープン当初はおどろおどろしい店内や食事、驚愕する仕掛けやショーと、とにかく驚かせて怖がらせるような演出がメインでした。しかし、時代とともに、奇妙だけど愛らしさのあるメニューなど、のちに“映える”と呼ばれるような、写真を撮りたくなるメニューが増えました」

オープンから変わらない要素も
毎日開催されるモンスターショー。多い時には100パターンのシナリオが!
 さらに、ただ怖がらせるだけでなく、新たな要素も兼ね備えるようなっていったと、設樂さんは語る。

「同じくただ単に怖がらせるだけだったモンスターショーもアップデートし、モンスターたちが手を振ったり、ハイタッチをしたりと、一緒に楽しめるような要素も兼ね備えるように。ダークで恐ろしい世界観は残しながら、エンターテインメントとしてまるごと監獄を楽しんでいただけるようになったと思います。

 とはいえ、入り口で『逮捕する』演出や罪状を叫びながらの案内などは、オープンから変わらない『監獄レストラン』ならではの要素ですね」

売上最高額は2015年のハロウィン
 そうしたコンセプトが当時の若者にマッチし、同店は大ブームを巻き起こした。具体的にどのくらいのブームだったのかについて、設樂さんによれば次の通りだ。

「さまざまなイベントをやりましたが、1番人気だったのはやはり『ハロウィンイベント』でしょうか。売り上げの最高額としては、2015年のハロウィン当日の10月31日。150席程度のお店ですが、500名以上ご来店いただき、200万円売り上げました」

 ストーリー仕立てにしたモンスターショーを今でも毎日おこなっているそうだ。そこにも常連を飽きさせない工夫があった。

「地下牢に閉じ込めていたモンスターが逃げ出す、街にやってきた悪人がモンスターを解き放つ、実験に失敗してモンスター化して危険区域を越えてしまうなど、多い時は100以上のシナリオの中からセレクトしていて、いつ来店しても違うストーリーに出会えるようにしていました」