「まだ夢を見ているようです……」。
7月12日に営まれた安倍晋三元首相の告別式で、喪主を務めた妻の昭恵さんはあいさつでそう語った。
事件から4日ほどしか経っていない。夢であってほしいというのが実感だろう。
しかし、永田町の現実は動き始めている。
次の「政局」をめぐり、この昭恵さんの名前がクローズアップされているというのだ。

(中略)

 補欠選挙になれば、当然、自民党から安倍元首相の後継を出すことになる。
しかし、誰が立候補するのかといえば、参院選が終わったばかりで、具体的な名前はまったく出ない。
仮に補選で当選したとしても、その後の1減問題が待っている。

 そこには、地元の意向も強く働く。安倍元首相に近い山口県議は、

「補欠選挙となれば、安倍先生の後継者を出さねばならない。
補欠選挙とならなくとも、地元の思いは変わりません。安倍家が山口には必要です」

 と話し、こう続ける。

「安倍先生はお子様はおられません。そこで、地元では、昭恵夫人に立候補していただきたいとの声がすでに出ている」

 安倍元首相は、これまでマスコミのインタビューでも、

「妻は家庭内野党です」

 と話すなど、昭恵さんは政治的な関心が強いと語っていた。

 葬儀の際、昭恵さんはあいさつで、

「まだ政治家として、いろいろやりたかったことがあったと思います」

 と語ったという。

 安倍元首相の葬儀に出席した自民党幹部によれば、

「昭恵夫人の言葉を聞いて、山口4区が補欠選挙になれば昭恵夫人に出馬していただくしかないと思った。
憲法改正など政治的に安倍さんがやり残したことも昭恵さんにお願いできれば、というのが正直な思いだ」

 と党内でも「待望論」があることを明かした。

 安倍元首相を支えてきた昭恵さんだが、ファーストレディーとして積極的に活動することでも知られている。
これまでのファーストレディーよりも、とびぬけて知名度が高い。

(中略)

 安倍派のある衆院議員は、

「安倍会長に代わる人は、昭恵夫人以外にはいません。山口4区の地元でもそうだと聞きます。
昭恵夫人は、安倍会長と同様にカリスマ性があるし、トップの器です。
補欠選挙となろうが、そうでなかろうが昭恵夫人にご決断をお願いしたい。
当面は集団指導体制でと聞いていますが、安倍会長の重し、昭恵夫人の影響力がないと、
いずれ安倍派は二つ、三つに割れてしまうと思います」

 と話すなど、永田町でも昭恵さん待望論が聞かれる。