子供の遊具下への潜り込みを想定し、独自に安全対策を実施している施設もある。千葉県山武市のプール「蓮沼ウォーターガーデン」ではマット状遊具の四辺に丸太状の浮きを付け、マットと水面が接しないように工夫。万が一、ライフジャケットを着けた子供がマットの下に潜り込んで浮力が働いても、呼吸ができる空間を確保している。

 監視体制も施設の安全性を左右するが、同施設ではプールサイドからの監視に加え、常時数人の監視員がプール内を巡回し、遊具から水中に転落した子供を引き上げるようにしている。

 しかし、全ての施設で手厚い監視体制を実現できるわけではない。事実、としまえんでは7人の監視員全員をプールサイドに配置。遊具の下に潜り込まないよう呼びかけ、正午と午後2時に水中を確認する定時点検を行っていた。

 「遊びに夢中の子供に呼びかけが伝わると考えるのは非現実的だ」。小児科医で、子供の事故に関する調査などを行うNPO法人「Safe Kids Japan(セーフキッズジャパン)」の山中龍宏理事長はこう指摘し、「複数の監視員を配置しても、太陽光の反射で水面が見えにくくなるなど人間の目に頼った監視には限界がある。最新技術の活用も必要だ」と強調する。


PR



◆自動解析で警報

 山中氏によると、天井や水中のカメラ映像を専用のソフトウエアが自動解析する監視システムも開発され、一部のプールに導入されている。人が水面から沈んで約20秒間動かなくなるとアラームで監視員に注意を促し、専用端末に溺れた人の位置情報を表示するという。

 「混雑するプールで子供が保護者とはぐれることは容易に想定できる。事業者側には、そうなった場合でも子供が安全に遊ぶことができる環境を提供する責任がある」

 北條氏はこう指摘した上で、「利用者が施設の安全性を評価するのは困難。事業者側が安全対策を分かりやすく公開し、利用者が見比べられる仕組みづくりが必要だ」と話している。