雨が降った後の気化しなかった私達へ。
蒸気は存在することの危うかった名残で、萌芽はまだ見えなかった大陸の音。
戦争が降った後の帰化しなかった私達へ。常軌は存在することの危うかった名残で、邦画はまだ見えなかった大陸の音。
戦火から、火を盗る。
盗まれたものはいつか返さなければならないと、足音が落ちていくのを聞いては、暗闇を暗がりと言い直して照らす顔に集まる羽虫達のざわめきから立ち上がる若い老人。
彼の家や言葉はまだ人に濡れていない。和解が始まる老いた人と若い神の間で。
火に、盗(と)を足して、人を作った。火を盗むから、私達は私達だった。
戦火から火を盗んで人になったばかりだ。夢が長い人の息を殺して。