■典型的な「パワハラ上司」の実像

社会でパワハラ問題が取り沙汰されるようになってから久しくなります。パワハラについては、相手の人格を否定する、こなしきれないノルマを与える、暴力を振るう、必要以上に強圧的な態度をとるなど、いろいろな言動が定義されています。

パワハラは、被害を受けた側のメンタルに大きな悪影響を及ぼすため、私もカウンセリングを通じて、さまざまなケースを見てきました。

中には、生来の「パワハラ上司」とも呼ぶべき人がいて、何度注意されても行動様式が改善できず、部署が異動になっても次々に事件を起こし、多くの部下を精神的に追い詰めたりしています。

日本企業の場合、一度マネジャーとして登用すると、平社員に降格させたり、あるいは役職定年でもなければ、専門職に職種転換させたりすることが少ないので、多くの会社で「常習犯」としてのパワハラ上司が問題になっています。

私がこれまでカウンセリングを担当してきた「パワハラ上司」には、次のような人が多くいました。

マネジャーに登用されると、部下を精神的に追い詰めて職場の人間関係を壊し、周囲が困り果ててその部署から「追い出す」ものの、やはり次の部署でもマネジャーとして処遇され、同じ問題を起こして異動になり、また次の職場で……を繰り返し、とうとう引き受け先がなくなり、会社が困って私のところへ相談に訪れる、というものです。

このパワハラ上司にも、さまざまなタイプの人がいるのですが、目立つのは今回紹介するようなタイプです。

このパワハラ上司の典型タイプを、ここでは「激情型」と呼びます。

激情型の人は感情の起伏が激しく、自分でコントロールができないタイプです。さらに「機械型」とは違った意味で、人の好き嫌いが激しいのも特徴です。