■「部下も悪い」と考える会社は危ない

その点、上司に原因がある場合、事態は深刻です。

マネジメントに問題があっても、部下から上司に対して「あなたは職場のメンバーにストレスを与えています」と指摘することはまず不可能です。

上司の立場にいる人が職場を壊していても、それが相当にひどくない限りは、さらに上位の役職者(課長にとっての部長など)の目に届きにくく、放置されやすいため、なかなか解決に結びつきません。

一般的な組織では、上司という立場にいれば複数の部下を抱えています。マネジメントに問題があれば、その悪影響は職場全体に広がってしまうのです。

このような要素があいまって、上司サイドの問題は、部下サイドの問題に比べて、長期化、悪化しやすい傾向があると言えます。

先に部下に原因があるのは3分の1程度と書いたのは、あくまで個別のケースについての全体の印象です。会社によっては、上司が非常にしっかりしていて、問題の多くは部下側にその原因がある、というケースもありえます。

その意味では、「部下由来の問題が、そんなに少ないはずがない」という主張も論理的には、成立可能なわけです。

ただし、こと「特定の職場で問題が続出する」というケースでは、詳しく話を聞いていくと、先述したように、やはり上司側のマネジメントに何らかの原因がある、というのがほとんどです。

そして、私の経験則ではありますが、「部下由来の問題が、少ないはずがない」と経営者や管理者が発言するような会社ほど、上司が原因となって「職場が壊れる」という危険が高まると思います。