あの時よりずっと前に遡る。
この先を上るとどうなっているのだろうと思った。
ある時、一人でそこに立ってみた。今まで知らなかった景色がそこから見えた。
ここにまた来る時は、必ず好きな人と一緒に来ると決めた。
その時すでにいま好きな人の事が好きだった。
その人の顔が浮かんだのだから、それは間違いなかった。
当然ながらそれを知っているのは自分自身だけだった。

それから数ヶ月が経って、街はクリスマスの彩りに飾られた。
コロナの事など忘れるくらいの素晴らしい彩りだった。

ある時、あの人に冷たい態度をとってしまった。
それは自分に嘘をつく行為であり、その人の好意を踏み躙る行為であり、
その人を深く深く傷つけた。
もっとも恥ずかしい事をしたと今でも後悔している。
1番好きな人に、1番してはいけない事をしたからだ。
その日、張り裂けるような思いでその景色を見上げた。
景色は霞み、よく見えなかった。 

今でもこちらの事を好きだと言ってくれるなら、
一緒にそこに行きたい。
世界で1番好きな人に、膝をついて
愛していると伝えたい。