これは四本さんが自家薬籠中の物とするfMRIの面目躍如たる研究だ。脳の形態も血流もすべて考慮して、84×84の組み合わせ(正確には2で割って3500くらいの組み合わせ)を総当り的に見ている。様々な部位が、別の部位とどれくらい強くつながっているかを丹念に確かめ、その結合の強さで色分けすると、ちょっと訳のわからない模様が浮き上がってくる。

「84×84の組み合わせの表を男女別に作って、女性と男性の差を計算してあるんです。84カ所、それぞれ脳の場所の名前がついています。それで、皆さん、関心があるのは、こういった組み合わせで何が言えるだろうってことだと思うんですけど、それはわからないです。ただ、こういったもののパターン認識は、最近の機械学習が得意なので、パターンの違いを学習したAIに分類させると、約92%の精度で男女を見分けることができる、くらいのことは言えるんです。でも、これって、たぶん男女じゃなくても、これくらいの差は出るんですよね。例えば、20代の人と30代の人、というふうに比べてもやっぱり差はでると思います」

 違いはある。見分けることも9割以上できる(1割は間違う)。

 男女という分け方だけでなく、年齢差やほかの分け方でも、ネットワークの結合パターンの違いは見えてくる。

 今わかっているのは、それくらいだ。

 ここから新たな神話を引き出すというような話ではないらしい。