このクルーグマンの『流動性の罠』論を、内閣府参官房参与(2012年12月〜現在)に就任した浜田宏一氏が安倍首相に分かりやすく説明して紹介したのです。
安倍首相は、これを「円を増刷すれば経済は成長する」と理解しました。
簡単に言うと、「日銀が国債を大量に買ってマネーを増発すれば、それが需要の増加を生んで、デフレからは脱却でき、経済は成長に向かう」というものです。
多数派の支持を得て政権に就いた安倍首相は、この論を政策として採用し、量的緩和は効果がないとして消極的だった白川方明氏に変えて、浜田氏が推薦していた黒田東彦氏(総裁)と岩田規久男氏(副総裁)を日銀に送り込みました。
この黒田・岩田体制で始まったのが2013年4月からの「異次元緩和」です。「2年をめどに、マネータリー・ベースを2倍にし、消費者物価を2%上げる」というリフレ策でした。黒田総裁が、「2年、2倍、2%」と書いたフリップを持って、
記者に馴染みのなかったマネタリー・ベース
(ベース・マネーとも言う)について説明しました。