(続き)官邸の思惑とは裏腹に自民党内ではすでにポスト安倍について協議が始められている
という。「最大派閥、細田派を中心に主流派閥は人気は認めつつ、石破茂氏では党内が
持たないと見ている。小池一派が石破氏に手を突っ込んでくる公算も大きい。
 主流派の総意はシナリオどおりの岸田文雄政調会長への禅譲。結果次第だが、党内政局
がさらに過激になることは間違いない」(政府関係者)
「安倍さんの総裁選3選阻止の受け皿になる」(ベテラン議員)という勉強会が党内のアチコチ
ですでに立ち上がっている。
 安倍首相から禅譲密約が取りざたされる岸田政調会長でさえ、「首相はタカ。私はリベラル
。明確に政治信条に違いがある」と公然と明言するなど、反安倍へのうねりができ上がり
つつある。細田派前議員もこう認める。

「正直、安倍さんは2021年9月までの3選はもはや考えていないでしょう。リアリストだから
逆転の発想で、当面の北朝鮮有事や改憲発議は、危うい存在である小池氏と折り合いを
つけていくのではないでしょうか。政治家は全員、お互い信頼なんてしませんよ」

「お前が国難だ!」 3日夕方、栃木県さくら市で安倍首相が北朝鮮への圧力強化に大半の
時間を割いた街頭演説中、野次が飛んだ。
「自公の動員で、いくら田舎の駅前とはいえ300人程度しか集められず盛り上がりに
欠けた。すが、圧勝した3年前の総選挙時の勢いとは大違いです」(同行した首相周辺)

 ある自民党幹部はこんな不安を漏らした。「菅さんは政権交代を許し大惨敗した09年
総選挙のときも最後まで勝てると言い続けてたからなあ。
 安倍首相や菅氏ら政権中枢が自ら置かれた苦しい立場をちゃんと認識していると
 信じたいが……」(本誌・小泉耕平、村上新太郎、亀井洋志)