>>388
後代の仏教においては、他人に対する奉仕に関して「三輪清浄」ということを強調する。
奉仕する主体(能施)と奉仕を受ける客体(所施)と奉仕の手段となるもの(施物)と、
この三者はともに空であらねばならぬ。
とどこおりがあってはならぬ。
もしも「おれがあの人にこのことをしてやったんだ」という思いがあるならば、それは慈悲心よりでたものではない。
真実の慈悲はかかる思いを捨てなければならぬ。かくしてこそ奉仕の精神が純粋清浄となるのである。P129
慈悲 中村元 講談社学術文庫 ISBN:4062920220