糖尿病訴訟「インスリン高額、一生必要なのに支援ない」

「患者はインスリンを毎日打たないと生きられない。人工透析やペースメーカーのように公的支援があるべきだ」。
障害基礎年金の支給を求める訴訟を起こすことを決めた、
1型糖尿病患者の西田えみ子さん。訴訟を通じて「理解が進みにくい患者の実情を知ってほしい」と考えている。
1型糖尿病患者は、20歳未満であれば特別児童扶養手当など公的支援の対象となるものの、
身体障害者福祉法上の障害には該当せず「指定難病」の認定もない。
インスリン投与は一生必要だが、成人になると支援がなくなる上、インスリン製剤は高額。月数万円に上る医療費は自己負担だ。
5歳で発症した西田さんは10代で事務の仕事に就いたが高血糖になり手足が硬直するなどして半年後に入院した。
現在は同じ1型糖尿病で正社員の夫と暮らすが、医療費は2人で月5万円以上かかる。
また、健常者よりも疲れやすく「週に数回の活動でも体力が追いつかず、残りの日はほぼ安静にしなければならない」。
これまでも年金に頼りたいと考えていたが、障害等級の基準となっていた平均血糖値の数値が要件を満たさず、申請していなかった。
国が平成28年に平均血糖値の要件を削除したことを受け、昨年2月に申請したが、理由が示されないまま不支給となった。
「納得のいく説明が欲しい」と、訴訟で国の判断の是非を問うことを決めた。
活動を通じて知り合った患者仲間が医療費負担に苦しむ様子や、年金支給打ち切りを受けて大阪地裁に訴訟を提起した原告らの声も、
西田さんの行動を後押ししている。西田さんは「誰かが声を上げないと変わらない。
今は一切言えないけれど、いつか新たに患者になった人には『大丈夫だよ』と言える環境にしたい」と話している。