「ウソだと言ってんでしょ。非常に無礼な話で、人格攻撃だ」――。
安倍首相のガキのケンカ答弁が波紋を広げている。
13日の衆院予算委で立憲民主の本多平直議員は、
安倍首相が自衛隊明記の改憲理由として、たびたび持ち出す逸話は事実か、いつどこで聞いたのかと質問。
すると、安倍首相は「私はウソを言うわけない」とキレまくったのだ。

 希代の大ウソつきがよく言えるが、問題の逸話とは「自衛官が息子さんから『お父さんは憲 法違反なの?』と目に涙を浮かべながら尋ねられた」というもの。
安倍首相は「これについて資料を出せと言うんであれば出させていただく」とタンカを切ったが、いまだ国会に資料を出していない。

 情報源も昨年8月の地元・山口県の講演では「ある自衛官」、13日の予算委では「防衛省」と変遷したが、今はネット社会。
SNS上は「ネタ元特定」と話題だ。
その人物は元航空自衛隊空将の織田邦男氏(67)。
現在は東洋学園大非常勤講師を務め、保守系雑誌などに寄稿している。昨年1月公開の「KAIKENチャンネル」インタビューでこう語っていた。

「私の息子も小学校だったか中学生だったか忘れましたけど、帰ってきてね。『お父さん、自衛隊って違 憲なの?』と聞かれた時、ショックを受けましたよ。先生が言っていると」

 織田氏が「(前出の逸話を)私はあるところに書いたら最近安倍さんがそのフレーズを使うようになった」と語る別の動画も拡散中。
織田氏の「正論」17年8月号への寄稿にも同様の話が出てくるが、「さすがに今はないだろう」との旨も書いている。
織田氏が空自を退職したのは09年。
現在の出来事のような安倍首相の口ぶりは怪しい。

 確認した限り、織田氏は安倍首相が強調する「息子が涙を浮かべた」と語っていない。
情緒的に話を盛り、何となく「自衛隊がかわいそう」というムードを醸造し、悲願の改憲に結びつける。
一般人ならまだしも、権力者には許されないウソだ。

 ましてや、自衛官の息子に心ない言葉を浴びせた教員が本当にいるのなら、行うべきは教員の指導だ。
憲 法を変える理由にはならない。

日刊ゲンダイ
2019/02/20
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/247803/