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憲法變更の手續

(一)立法機關に委任せざるもの
 北米合衆國は憲法改正の爲に特別の機關を手續とを設く。
佛國は兩院に於て、憲法改正の必要を議決したる後、國民會を開きて決す。

(二)立法機關に委任するもの
 憲法變更を通常の立法機關に任ずる國にありては、其の議決の手續を制限す。
 (甲)各國の制限
  (イ)出席議員の定數及び投票數に制限を設く(獨、墺《オーストリア》、諾《ノルヱー》)。
  (ロ)一定の期間を隔て、數囘の議決を經るもの(普《プロシア》、瑞西《スイス》、諾《ノルヱー》、葡《ポルトガル》)。
  (ハ)發案權を制限するもの(巴《パナマ》、索《ザクソン》、白《ベルギー》、葡《ポルトガル》、丁《デンマーク》)。
  (ニ)攝政を置く間變更を許さゞるもの(索《ザクソン》、白《ベルギー》)。
  (ホ)改正議決前、議會にて改選するもの(白《ベルギー》、葡《ポルトガル》。瑞典《スヱーデン》蘭《オランダ》、)。
  (ヘ)一定の期間、變更を許さゞるもの(葡《ポルトガル》)。

 (乙)本朝の改正の制限
  (イ)全面削除(廢止)を許さず。
國體法の削除は國體の變更を伴ふ爲に第一條から第四條の改正は禁止。
認められてゐるのは國體法以外の部分改正のみ(改正限界超越)。←占領憲法は是に違反。
  (ロ)天皇以外の發議權を許さず(帝國憲法第七十三條及び樞密院官制第六條二)。←占領憲法は是に違反。發議大權の干犯。
  (ハ)議會の發案を許さず(帝國憲法第七十三條及び樞密院官制第六條二)。←占領憲法は是に違反。發議大權の干犯。
  (ニ)議員三分の二以上出席し、三分の二以上の多數を以て議決せざるべからず。
  (ホ)攝政を置くの濶正を許さず(帝國憲法第七十五條)。←占領憲法は是に違反。改正大權及び天皇の一身專屬權の干犯。
君主主權?、國家主權?、憲法法理對照・川澤C太カ、明治丗四年七月十一日發行より拔萃