退職金のための借金は「退職手当債」。自治体が発行する地方債の一種で、もともとは定年前の早期退職を勧奨した公務員への退職金支払いに限って認められてきた。
職員の大量退職時代を迎えたため、総務省は地方財政法を改正し、06年度から定年退職者への支払いにも解禁した。

 05年度の退職手当債発行は、都道府県では岡山県の30億円だけだったが、06年度に33道府県、1709億円へ急拡大。
07年度はさらに43道府県、3947億円に広がった。08年度は44道府県が計4284億円を予算に計上している。

 今年度の発行予定額が最も多いのは兵庫の395億円で、千葉の250億円、神奈川の226億円が続く。兵庫県は退職金総額のほぼ半分を退職手当債でまかなう予定だ。
「阪神大震災の復興で発行した県債の返済負担が重いうえ、国と地方の三位一体改革で地方交付税を減らされたため、やむを得ない」(財政課)と説明する。

 大阪府は、橋下徹知事が打ち出した「府債発行ゼロ」の原則を受けて今年度当初予算への計上を見送ったが、補正予算に185億円を盛り込んだ。

 発行を予定していないのは東京都と鳥取、島根両県。
それぞれ「都税収入で賄える」(東京)、「退職者数が極端には増えていない」(鳥取)、「退職手当債発行に伴う返済は地方交付税で補填(ほてん)されず、なるべく避けたい」(島根)としている。

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