2020.02.11 TUE 11:00
抗生物質が効かない「薬剤耐性菌」に打ち勝つヒントを、科学者たちが見つけ出した

抗生物質が効かない薬剤耐性菌による感染症が広がり、そして致死性が高まっている。こうしたなか、研究者たちが耐性菌に対抗する新たな方法を生み出すヒントを見つけたようだ。
https://wired.jp/2020/02/11/scientists-find-a-weak-spot-in-some-superbugs-defenses/
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「単細胞生物がいかに賢くなりうるのかを、この論文によって示せればと思っています」と、
この論文の筆頭著者で、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターとテキサス大学ヒューストン保健科学センター大学院で生物医科学を専攻し、博士課程に在籍するアイーシャ・カーンは語る。
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細胞が備える「警報システム」の役割

この細胞はどういうわけか、いつ細胞膜を再編成すればダプトマイシンに対抗できるのかを知っていた──。カーンと研究室の仲間たちは困惑した。
カーンは、これらの薬剤耐性菌の細胞膜と細胞外の両方にたんぱく質「LiaX」が多く含まれていることに気づき、LiaXに照準を定めて研究を進めた。

カーンらの研究チームが注目したLiaXは、細胞の警報システムだ。このたんぱく質はダプトマイシンと結びつき、細胞膜を再編成するには適切なタイミングであるという信号を細胞に送り返す。
同じメカニズムが人間の免疫システムをVREが撃退する際にも役立っているのだ。そして致死性が高いというVREの性質に寄与しているのかもしれない。
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対等に戦うチャンスを人類にもたらすか

「LiaXを標的とする薬など、いまのところ何もありません。開発に必要な期間は1週間かもしれないですし、10年かもしれません」