「兄弟は――俺たちは。きっと、或人の夢の力になるよ」

自信と、確信を得た声色だった。或人は呼吸を忘れてソウゴの凪いだ瞳を見る。

――夢。
或人の夢は、笑いで頂点を取ることだ。それは有名になりたい、お金が欲しいといった欲で構成されてはない。頂点を取れるということは、人の笑顔がついてくること。突き詰めれば手段に過ぎないのだろう。

最初に弁解した通り、(しどろもどろになってしまった。嘘くさく思われてないだろうか)行きたくない訳ではない。興味はある。
しかし、仮面ライダーであるその兄弟たちは、或人のことをどう思うのだろう。ほとんど巻き込まれて成ってしまった自分を、歓迎するだろうか。
(ああ、でもこれは……ソウゴが来たんだから、心配いらないのか)

だったら自分は? 彼らのことをどう思うのだろう。こんな生半可な気持ちで、果たして溶け込めるだろうか――。或人はウンウン唸って考えて、表情が曇る。どうも考えがプラスの方向に纏まらない。

「なぁ、ソウゴの……ライダーの兄弟って、どんな」

女性の甲高い悲鳴が聞こえた。
直後、爆発音が一帯に轟いた。或人とソウゴはすぐさま席を立って周囲を見渡す。現場だろうエリアから黒煙が上がっていた。近い。

『探しタカッタカ〜!』『スイカアームズ ッコダマ!』

「行こう!」
「えぇ今の何……っそ、そうだな!」