そういうのに比べれば「そのまま二時間、机の前でじっとしていなさい。そのうちなんとかなるから」というのは、思想としてまともである。
金もかからないし、人に迷惑もかけないし、手間もかからない。何よりも外的要因に頼らなくていいというのが潔くてよろしい。
 ぼおっとしているのは、簡単といえば簡単だけれど、むずかしいといえばけっこうむずかしい。たしかにある種のコツは必要とされる。
「あくび指南」じゃないけれど、僕のぼおっとするやり方を一応書いておく。
まず頬杖をつく。両方の親指で顎のえらをおさえ、小指で目の端をおさえる。
それから首の力を抜き、両目の焦点を微妙にずらせる。僕の場合、幸いにも右目の視力が○・○八、左の視力が○・五なので、
努力しなくても首の力を抜いてしまえば、焦点は自然にずれて、視界はぼやけてしまう。
 時折、思い出したように少しずつ姿勢を変えながら、だいたいこのような姿勢で時を過ごす。
僕の机の前には窓があり、窓の向こうには千坪ほどの広い空き地がある。
病院の用地として確保されたものだが、建築許可がおりなくてそのままほうったらかしにされた広い土地である。
そこではススキとセイタカアワダチソウが熾烈な戦いを繰り広げている。
だから僕はだいたいぼんやりとした視線で、風に揺れるススキやらセイタカアワダチソウやらを眺めるともなく眺めている。



村上方式の自己紹介やぞ?
嫉妬してるヒマがあったら、こういうのを覚えればいいのに