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ケルアック「孤独な旅人」(1960, 中上哲夫 訳)収録の『メキシコの農民たち』から抜粋


 メキシコには<<暴力>>はない、そういう偏見はすべてハリウッドの作家たちや<<暴力的になる>>ためにメキシコへ出かけた作家たちがつくり上げたものだ
ーー メキシコでは無法行為をしても逮捕されないというので酒場で馬鹿騒ぎをしにメキシコへ出かけたあるアメリカ人のことを知っている、
  やれやれ、ぼくも道路のまん中で笑い声をたてつつふざけてレスリングして車の往来をとめている男たちを見たことがある、その側(そば)をみんな笑いながら歩いてたっけ ーー
メキシコは概して穏やかで感受性豊かな土地だ、ぼくのように危険な人物たちの間を旅する場合でもね
ーー <<危険な>>というのはぼくらがアメリカでいう意味だ ーー
実際、国境から離れて、奥地に入っていけばいくほど、メキシコのひとたちは感受性豊かになるのだ、まるで文明の影響は国境の上に雲のようにとどまっているみたいなのだ。


まぁケルアックとて余所者なのだから全て鵜呑みにするのは違うと思うが、全くの出鱈目でもなかったんだろう(ちな麻薬戦争以前)。
言ってしまえば放浪者だった作者が半世紀以上前のメキシコで、現実と虚構を分別できないアメリカ人について批判してる段落ね。
俺にはついこないだの鉄血の火星さえも批判しているように思えた、メキシコってそんなイメージなんだろう?って。
こんな感じで5ch以外にも読書くらいはしてます。