「融合はしてやる。だが俺はあの女の子供を護りたい。もし約束を違える」
ラグナのいいだろう次の刹那、身をさけるような痛みとともに強大な圧力に虚無の空間が裂けた。
「汝が持つ強大な力は、やがて世界すらも飲み込むだろう。我が彼奴を受け入れたばかりに…すまぬ。我の力では赤子であった汝の精神に閉じ込めるのが精一杯だった。だが、やがては…。」
はっと気づいた俺は飛び起きる。午前4時を表す時計。身体は汗まみれで椅子にもたれ眠っていたようだ。
またあの夢か…と俺は呟く。姿が見えない謎の男の声、何も見えない暗闇で…。
俺は崩壊したプラントの残骸で住んでいる。ライフラインは奇跡的に生きており、生活する上で不自由はない。
たまにジャンク屋などが宝探しをしにやってくるが、全て始末していたら噂が広まったのか近寄る人間は少なくなり、今度は心霊やオカルトのマニアが出入りするようになった。
俺は物心ついた頃から地球連合軍に追われている。何故追われているのかもわからない。
名前はマサヤ・ウエダだが、身内もいないので真実の名なのかはわからない。
ただ逃げるだけの日々、悪事を働いたわけでもないのに逃亡を繰り返す日々。
最初は何故かと苦悩したが、いつしかそう考えることもなくなった。
俺には普通の人が持っている何もない。家族との記憶、教養、楽しみ。
こんな何もない俺にどんな価値を見いだし連合軍は捕らえようとするのか。
それに対しての興味だけが俺の生きがいになりつつあった。
自分のことは理解しているつもりだが、戦闘中ふと記憶がなくなることがある。
気づいたら眼前の敵が滅んでいるということもあるが、戦闘による興奮状態になり記憶の欠落がある、くらいの認識であっだが、そこに連合軍は何かを見出したのかと考えるようになった。
警戒を示すアラームが鳴り響く。
コロニーの残骸への侵入者が来たのだ。
また俺は全身を黒く染めたモビルスーツ、デスサイズ・イン・ザ・ワールド・エンドガンダムに乗り込む。
マサヤ・ウエダの終わりがない戦いは続く…。