初めて選手としてブラックプールに行ったのは、2年前の5月でした。
私は、子供の頃からの夢の実現に確実に近付いたことに興奮していました。
競技ダンスに全てを懸けて練習してきた自分に過剰なまでの自信も持っていました。
私達は圧倒的な観衆の支持を受けながら、ライジングスター戦のセミファイナルまで勝ち進みました。
私は踊りながら、観衆の拍手と声援に乗せられ今までで最高の踊りを踊っている自分に、心の底から感動していました。
そして、その時、私はあなたと同じようにクイックステップで事故に遭いました。
私は彼をなじりました。「どうして私を守ってくれなかったのか」と。
彼は言いました。「カップルを解消しよう」と。
彼は勝っても負けても、このブラックプールを最後にカップルを解消しようと思っていたと言うのです。
私には理解できませんでした。
誰よりも長く一緒にいて世界を目指していたのに、どうして私を裏切るのかと。
(略)
大会を目指して練習をした3ヶ月、私の中で何かが変わりはじめました。
それまでの私は、相手を心の底から信頼することなしに、自分一人で踊っていたのだということに気付きはじめたのです。
ブラックプールでの失敗は、リーダーが私を裏切ったのではなく、リーダーを裏切りつづけていた私の踊りの、当然の結末だったのです。
相手を信頼して踊ることの素晴らしさを、そして何よりも、踊ることの楽しさを思い出させてくれたのは、あなたなのです。