羽生結弦に「あの日も、あれからも救われた」胆振東部地震で被災 山口善紀さんが語るストーリー〈3〉
2022年2月6日 7時0分スポーツ報知

https://hochi.news/articles/20220206-OHT1T51008.html

北京五輪でフィギュアスケート男子の羽生結弦(27)=ANA=が94年ぶりの3連覇に挑む。スポーツ報知では8日の個人戦ショートプログラム(SP)へのカウントダウン連載として、ゆかりの人物が語る「羽生結弦ストーリーズ」を4回にわたり掲載する。第2回は北海道・胆振東部地震で羽生との出会いを復興の力にした山口善紀さん。

 羽生との出会いを復興への力とした人がいる。2018年9月6日に北海道を襲った胆振(いぶり)東部地震。震度7を記録し37人が犠牲になった厚真町に翌年6月、羽生が日テレ「24時間テレビ」を通じて訪れた。厚真を「日本一のハスカップの町」に育て上げた山口善紀さん(51)が町内を案内し、自らの農園に招いた。「あの日もあれからも、羽生選手にめちゃめちゃ救われました」。心からの振る舞いに、感謝を忘れたことはない。

 山口さんの自宅の裏山は崩れ、500本の木が土砂に埋まった。町全体では4万本以上ある木のうちの1万本が被害に遭った。羽生にハスカップの歴史、震災時の様子や被害を説明しながら農園を回った。「紳士的ですごく優しいピュアな少年という感じで。真摯(しんし)に耳を傾けてくれました」
畑を歩きながら、ハスカップを羽生が口に運んだ。山口農園の名物・スムージーも飲んだ。弾むような声で放った感想は「めっちゃおいしい」。8月の番組放送中、SNSのトレンド上位に「ハスカップ」がランクイン。厚真が生産量日本一を誇る名産品が、一気に全国区になった。羽生が言った「食べることで応援できる」の言葉が山口さんの心に染みた。「私も食べることで厚真町を応援したい」という人が増えていった。