一方で技術開発は進んでいく。N700系が2007年に運用開始され、東海道新幹線での最高速度は285km/h、山陽新幹線での最高速度は300km/hとなった。このN700系で注目されたのは、起動加速度の高さである。2.70km/h/s(700系は2.0km/h/s)と向上し、それにともない発車時から高速走行に移行するまでの時間が短くなった。

 JR東海は、全車両をN700・N700Aに統一することにより、すべての列車を単一の性能のもとで運行できるようになった。すでにJR東海は、全車両が同じ座席配置の列車となっており、運用の自由度も高かった。一方、起動加速度が違う車両が混在することにより、その自由度の高さを発揮しきれるとは言い難かった。

 車両の性能を統一することにより、ダイヤをより詰め込むことができる。これまで「のぞみ」が一時間に最大10本だったのが、3月14日のダイヤ改正で最大12本となり、多くの利用者の需要に応えられるようになった。

 車両の疲弊と、新車両への統一によるダイヤの向上で、700系は消えるのだ。

東海道新幹線の今後は

 東海道新幹線ではN700Sを7月1日に導入することが決まっている。N700Sは、東海道・山陽新幹線での最高速度は向上しないものの、海外輸出を前提とした車両のユニット単位の小規模化や、360km/hでの運行にも耐えられるように試験をしてきた。ただし、東海道新幹線の線路状態は古い時代のものであり、そこまで営業運転でスピードを出すことは困難だ。

 今後はN700AとN700Sで高速・高頻度運転を中心に行い、「ひかり」「こだま」も高加減速性能を活かし、高密度のダイヤの中でそれぞれの役割を果たしていくということになるのではないか。

7月1日に登場するN700S(筆者撮影)