ひょっとしたら夫は発達障害?でも実際は妻も…
こうした近年の傾向にあって、女性から「うちの人(夫)、発達障害じゃないですか?」という相談を受けることがよくあります。
「外面は良いけど家の中ではなにもしない」「一から十まで指示をしないと何もしてくれないので疲れてしまう」「神経質で突然怒鳴り出す」などです。思いつめて相談にいらっしゃる方も多いです。

こうした訴えでは、おおまかに分けて3つのケースが考えられます。
1つめは、ご主人に受診してもらって検査などをした結果、たしかにASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)だというケース。
この場合は、家でペットを飼う(アニマルセラピー)などご主人の精神的・情緒的成長を支援し、ペットを介したコミュニケーションを促すような方策をおすすめしています。
海外では獣医学部の分野でASDとペットの関係について研究がなされています。

2つめは、ご主人に受診していただくと、特に問題なく、診断上もASDではないというケースです。
最近は「発達障害」という言葉が浸透していて、コミュニケーションに問題があるとすぐ「発達障害」と思い込んでしまうからかもしれません。
奥さんのお話を聞いているとASDの傾向は見受けられますが、医学的には発達障害ではないというケースは多いです。
もちろん性格などには問題がある可能性がありますので、双方がカウンセリングを受けるなどの対策が有効かもしれません。

3つめは、妻のほうが実はADHDというケース。奥さんの言い分のみを聞いていると、たしかにご主人はASDのように見受けられるけれど、診断結果では発達障害ではなく、実は女性の側がADHDということがあります。
夫のことを批判していた妻のほうが、実はものの見方が偏っていたのです。この場合は、女性が薬物療法やカウンセリングなどで治療を受けることが必要な場合もあります。

発達障害の診断では、ご夫婦片方からの訴えのみを聞いて判断をすると誤ることが多々あります。
片方が不在の欠席裁判ではなく、双方の言い分を公平にお聞きすることが大切になります。
https://women.benesse.ne.jp/healthcare/pc/static/calendar/calendar70_01.html