あわや踏切事故…バス運転手が間一髪で救出 「よくやった」乗客から拍手

2019/7/11 6:00 (2019/9/6 14:16 更新)
西日本新聞 社会面
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踏切内で立ち往生した乗用車を冷静に誘導し、事故を防いだ西鉄バス運転手の竹田理恵さん=北九州市小倉南区


 北九州市小倉南区のJR日豊線城野駅近くの若杉踏切内で立ち往生した乗用車を、後続で居合わせた西鉄バスの運転手竹田理恵さん(44)が間一髪救い出した。工事や夕方の渋滞など悪条件が重なった上のピンチ。竹田さんが日ごろから乗務する路線の危険箇所を把握し、シミュレーションをしていたことが事故を防ぐ適切な対応につながった。

 5月31日夕。竹田さんのバスが踏切にさしかかると、数台前を先行する乗用車が渡りきる前に遮断機が下りてしまった。現場は渋滞しており、車は前進も後退もできない。運転手は逃げ出す気配がない。「パニックになっていたら大変」。竹田さんは車内マイクで「様子を見てきます」と、乗客に声を掛け、運転席を飛び出した。

 真っ先に踏切の非常ボタンを押した。車に駆け寄ると、中年男性が体をこわばらせていた。「じっとしていたら危ないですよ」。既に普通列車のライトが見えていた。


幸い後続車がスペースを見つけバックしてくれた。竹田さんは遮断機を持ち上げて誘導。車は踏切内から脱出した。列車は非常ボタンで停止したが、特急だったら間に合ったか。バスに戻ると、震えがきた。「お疲れさま。よくやった」。乗客から拍手が起きた。

 とっさの判断と行動は、普段から走行ルートをイメージし、シミュレーションする習慣が役立った。踏切のすぐそばは交差点で、当時は工事中。緩やかなカーブで信号の見通しは悪い。夕方は交通量が増える。「危ない場所と思っていたが、実際に危険な場面に遭遇し、救助を実践することになるとは思わなかった」。運転手11年目。
安全運行の意識を欠かさなかったたまものだった。