女は薬を飲ませたことは認めたものの殺意は否定した。しかし、千葉地裁は睡眠導入剤を飲ませる行為を「死亡事故を引き起こす危険性の高い行為」と指摘。「睡眠導入剤の効果が生じていることが明らかな状況で、車の運転を仕向けた」として「未必的な殺意」を認定し、懲役24年を言い渡した。女は控訴している。

 睡眠導入剤を飲ませ、意識をなくした相手にわいせつ行為に及ぶなどの性犯罪も相次ぐ。警察庁によると、睡眠導入剤などの薬物の使用が疑われる性犯罪の摘発件数は27、28年は30件程度だったが、29年には85件、30年も47件だった。

 悪用を防ぐため、一部の睡眠導入剤には水やアルコールに溶かすと変色するものもある。ただ、旭川医科大の清水恵子教授は「中が見えない容器の場合や、被害者が元々の色を知らない飲み物だと変色しても意味がない。味も変わらないものがほとんど」と悪用を防ぐ効果は限定的だと指摘する。

 すぐに脳などの中枢神経の働きを抑制し、犯罪に悪用されやすい強力な睡眠導入剤は処方箋が必要となる。ただ、個人で利用するために海外の強力な薬をネットなどで購入することは違法ではないという。

 清水教授は「簡単に睡眠導入剤が手に入るのが現状だが、本当に不眠で悩んで買う人がほとんどで規制するのは難しい。まずは睡眠導入剤を悪用した犯罪の手口や悪質性を、多くの人に周知していくことが大切になる」としている。
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最終更新:10/10(木) 15:18
産経新聞