言葉を失うほどの不誠実さを見せた関電、会見する度に傷口を広げた訳
石川慶子 | 危機管理/広報コンサルタント
10/11(金) 7:30
https://news.yahoo.co.jp/byline/ishikawakeiko/20191011-00145021/


関西電力 本社(写真:アフロ)



 関西電力は役員が金品を受領していたことについて、9月27日、10月2日、10月9日の3回にわたり記者会見を行いました。なぜ、3回も行うことになったのか、1回で済ませることはできなかったのか、考えます。

記者会見はやればいいというものではない

 まずは、3回の記者会見を振り返ります。1回目の記者会見は、9月27日の11時から行われましたが、1年前の調査内容を公表せず、公表しない理由は「プライバシー」と説明。1年前に公表しなかった理由は「不適切だが、違法性がないから」と回答。2回目の記者会見10月2日は、1年前の調査結果を公表しましたが、経営責任に対しては辞任を否定し、
「再発防止を講じるのが責任」、業界での役職も辞任せず、「貢献していく」とした内容でした。2回目はさらに、1年前に調査した弁護士小林敬氏による所感説明会見、その後事務局からのレクチャーと続き、6時間の内容でした。3回目の会見は10月9日で、八木会長の辞任、岩根社長は辞任前提で第三者委員会の結果が出るまでは社長職に留まるとの発表でした。
9月27日から10月9日まで約2週間かかっています。プロの目からみると2週間かけて3回も記者会見する必要がなく、1回の会見で終わらせることができた内容だったといえます。各会の着目点を述べます。

 1回目の会見でもっともよくなかったのは、「質問に向き合っていなかった」態度です。起こしたことに対する反省が全く見られない、質問に真摯に向き合う姿勢がない会見でした。自分達に不都合な質問に対しては、回答にはなっていないとわかりつつ、用意した文書を繰り返して読んでいたからです。

記者「処分者がいるのに公表しなかったのはなぜですか」

社長「(手元にある文書を淡々と読み上げる)ある特定の人物から金品を受領し、個人が保管。儀礼的なもの以外は返還しました。発注プロセスには問題がなかった。預かったことは不適切であるため関係者の処分を行った。今後再発防止策を確実に実施していく」

記者「質問に対する答えになっていない。改めてお聞きします。公表しなかったのはなぜですか」

社長「そのような判断の下、社内処分をして再発防止を講じていくということ」

記者「質問の答えになっていない。改めてお聞きします。なぜ公表しなかったのですか」

社長「違法ではなかった。不適切ではあったことから、社内で判断した」