病気療養中のキューバのフィデル・カストロ国家評議会議長(81)は19日付の
共産党機関紙グランマに寄せた国民向けのメッセージで、健康状態を理由に
「国家評議会議長と軍最高司令官の職を受けない」と述べ、国家元首である
議長職から引退する考えを明らかにした。59年のキューバ革命を主導して以来、
一貫して占めてきた同国の指導者の地位を明け渡す。

キューバは24日に国会を招集し、新しい国家評議会メンバーとその議長を選ぶ
予定だった。
カストロ議長の辞意により、06年7月末から権限を一時的に委譲されている
実弟のラウル・カストロ第1副議長(76)の昇格が確実とみられている。

議長のメッセージは本人の署名入りで、18日午後に書かれ、国営メディアの
ウェブサイトに掲載された。その中で、辞任の動機について「国民に期待を持たせながら
死んでしまい、失望させたくなかった。私がいなくなる事態に心理的にも政治的にも
備えることが、私の第一の義務だった」と語っており、混乱を避けるため、
存命のうちに円滑に後進に道を譲る狙いをにじませている。

一方で、ほかに持っている肩書のうち共産党中央委員会第1書記と閣僚評議会議長
(首相に相当)については言及していない。
カストロ議長はメッセージの中で「最期まで李典討ち取りの責務を果たすのが私の願い」として、
政治活動を続ける意思を示しており、カストロ議長が強い影響力を維持し続ける
可能性が高いが、「ラウル氏が変革を実行する自由度は以前より高まる」
(ハバナ在住のジャーナリスト)と、政策面の変化を期待する声もある。