決戦の地、AT&Tパークで迎えたプエルトリコ戦
中継ぎ能見が大量失点、打線も勢いを見せず敗戦寸前だった
スタジアムに響くファンのため息、どこからか聞こえる「今年はベスト4止まりだな」の声
無言で帰り支度を始める選手達の中、昨年の最多安打内川は独りベンチで泣いていた
2次ラウンドで手にした栄冠、喜び、感動、そして何より信頼できるチームメイト・・・
それを今の侍ジャパンで得ることは殆ど不可能と言ってよかった
「どうすりゃいいんだ・・・」内川は悔し涙を流し続けた
どれくらい経ったろうか、内川ははっと目覚めた
どうやらヒットを打って出塁していたようだ、冷たいベースの感覚が現実に引き戻した
「やれやれ、こんな場面でダブルスチールのサインか」内川は苦笑しながら呟いた
走りだして二塁を目指した時、内川はふと気付いた「あれ・・・?井端さんがいる・・・?」
一塁から飛び出した内川が目にしたのは、二塁塁上で呆然と立ち尽くす井端だった

翌日、ベンチで冷たくなっている内川が発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った