人生の三分の一を潰して俺は脚本を書き上げた。
タイトルは「ロードオブアルカナ」
終われ。つーか、始まるな。
ロードオブヴァーミリオンの主人公が、パラレルワールドを冒険する。
みたいな全く意味の分からない壮大なアドベンチャー。

だが、俺は達成感に満ち溢れていた。
「○○さん、スゲェな。今まで馬鹿にして悪かった」「○○さん、才能あるよ!」
ユーザーたちの賛辞が頭の中に湧き上がる。
実際、そのときは自分が業界随一の腕を持っていると思っていた。死ねばいいのに。

そして、ゲームの発売当日。
ショップに行くとロードオブアルカナが並んでいる。
目の前で売れた、思わずガッツポーズが出た。

今思えば店員、苦笑いしてた気もするけど、もうどうでもいい。
序盤から爆笑の嵐。失笑の渦。
「あれ?コメディ要素は少なめにしたはずだけど?」などと思い、戸惑う俺。

「武器名ウケるwwwこんな長い名前覚えられねーwwww」
「ゼロダイブディープリミテッドwwwwwゼロダイブディープリミテッドwwwww」
「国宝・貴正とかキモい」

ショップの在庫は買い取りですぐいっぱいになった。
俺は泣いた。
休憩時間、今までにないくらい意見メールが届いた。
涙すら出なかった。

http://orz.2ch.io/p/-/kamome.2ch.net/ghard/1287621841/1-