―時空越境作戦に参加して早幾日。
今までは窃盗や傷害を犯した相手を捕まえるだけだった私にとって、今まで味わったことのないほどスリリング。
物語でしか見れないようなクリーチャーや、自分自身と戦えるなんてまたとない経験。
何より、改造した銃をいくらでも使えるし、本気で撃っても人が死なない。
まさに天職じゃないかと思うほどこの『戦争』を楽しんでいた。
…ただ、新しい職場には新しい悩みが出てくるのも避けられないもので。

「怪我はないか、皆」
「はい!ぶ、無事に終わりましたしこの後にまたランチでも…」
「ふぅん、徹が言うだけはあるじゃない」
「また1人壊したい男が増えて嬉しいわぁ」

あの野郎、滅茶苦茶モテやがる。
そのことに対する謎の苛つきが私、天堂寺セイラの目下の悩み事であった。


「…で、あんたは行かないの?」
「行きますよぅ。でも今行ったらきっと他の人と同じ扱いになりそうじゃないですか」

そう語るのは件の新入り、咲良だ。
司に声をかけないのか聞いたらご覧の様子だ。

「はあ。賢いというか、計算高いというか、したたかというか」
「恋も戦争ですから〜」
「知った口聞くんじゃないの」