日本のカレーがつなぐ意外な縁たち…「北朝鮮」「被災地」「視覚障害者」[4/24]
http://newsphere.jp/national/20160424-1/

災害時の炊き出しの代表的なメニューと言えば、カレーだろう。
今なお避難生活が続く熊本地震の被災地でも、「カレーの炊き出し」の報告が各地からあがっている。

2011年の東日本大震災でも、在日インド人が炊き出しで提供したカレーが被災者の身と心を温めたという逸話があった。
この炊き出しのカレーは今なお人々に愛されており、その発展形の「女川カレー」が先月、“里帰り”を果たしている。
首都ニューデリーで開かれたイベントで振る舞われ、本場の人たちの舌を楽しませた様子が、内外のメディアで報じられている。
インド発のカレーは世界各地で「故郷の味」にアレンジされ、愛されているが、「世界で最も孤立した国」でも重要な役割を果たしてきたようだ。

シドニー大学の北朝鮮研究者、マーカス・ベル氏が米国の公共ラジオ局NPR(電子版)に、戦後の帰国事業で北朝鮮に渡った在日朝鮮人が
もたらした「日本のカレー」を巡るエッセイを寄せている。世界中の人々に愛されるカレーを巡る、知られざる逸話をいくつか紹介したい。

◆帰還事業と共に北朝鮮に渡った「日本のカレー」
カレーの起源は一説には紀元前2500年にさかのぼると言われる。
日本の「カレーライス」の歴史をひも解けば、18世紀にイギリス人が当時植民地支配していたインドから持ち帰ったカレー粉をベースにした
「英国式カレー」が元になっているとされている。
イギリスのカレーは、当時結びつきが強かった海軍を通じて日本に伝わり、1872年に初めて日本の料理本にカレーライスのレシピが登場した。
その後、日本独自の発展を遂げ、国民食となったのは周知の通りだ。

エッセイでこうした経緯を解説しているベル氏は、自身も「日本のカレー」の大ファンだ。
大阪の在日朝鮮人社会を研究する為に来日した際に、魅力的な香りに誘われて入ったカレースタンドで昼食に初めて「カレーライス」を食べた。
(続く)