ISIS戦闘員を虐殺する「死の天使」 ニューズウィーク日本版 6/15(木) 13:54

<一時ISISに半分近くを支配されたイラク国土の奪還に力のあった「勇士」は、斧や剣を振り回し、ISIS戦闘員の遺体に火をつけ切断する残忍さで
世界中に知られる男。その素顔>

イスラム教とユダヤ教で「アブ・アズラエル(死の天使)」の異名を取るその男は、テロ組織ISIS(自称イスラム国)への残忍な報復攻撃で世界の
注目を集めたイラクのシーア派民兵組織の司令官だ。

本名をアイユーブ・ファレ・ハッサン・アル・ルバーイーというアズラエルは、斧と剣で敵にとどめを刺す。
死んだISIS戦闘員の顔に火を付けて燃やしたこともある。 死体を切断して批判されたときには、イマーム(イスラム教の指導者)に罪を告白した。

アズラエルの視線の先には今、シリアとの国境地帯が広がっている。
最近イラク北西部の村々からISISを追い出したアズラエルは、どんな手を使ってもISISの脅威からイラクを守ると本誌に語った。

世界の関心はアンチヒーローとしてのアズラエルに集まるが、彼の任務はそれ以上に重要だ。
シリアとの国境地帯からISISを掃討できれば、シリアからイラクへの様々な支援ルートを確保して、大幅に縮小したISISの支配地域を完全に潰す
ことができるかもしれない。 「カリフ制イスラム国家」の終わりだ。

「イラクのランボー」

「我々は今もシリアとの国境地帯にあって、ダーイシュ(ISISのアラビア名)に大きな損害を与えながら追い詰めている」と、アズラエルはツイッターに
投稿した。 「我々は虐待された全宗派の人々を守り、我が国への犯罪者の侵入を防ぎ、避難した人々が故郷に戻れるよう助ける」

アズラエルが初めて脚光を浴びたのは2015年、米ハリウッドの映画俳優シルベスター・スタローンがベトナム戦争の帰還兵に例えて「イラクのランボー」
と呼ばれたときだ。
アズラエルのがっちりして筋肉質な体格は、所属するシーア派民兵組織「カタイブ・アル・イマーム・アリ」の戦闘員の中でも常に目立った。(続く)