これまでの情報を総合するとStatus-6は、
100メガトン級の核兵器が搭載可能な原子力機関方式による事実上の核魚雷のような性格のもので、
海中で核爆発を起こすことで放射性物質で汚染された高さ500メートル「津波」を人工的に発生させて、
ニューヨークやボストンなどの沿岸地域の大都市を壊滅するという全く新しいコンセプトの核兵器となる。

Status-6は、ソナーによる探知を不可能にする音響ステルス技術も搭載。
潜水艦から離脱すると、一旦、通常の潜水艦哨戒活動では探知不可能な深さ1000メートルの海底で待機をし、
攻撃の指示を受けると目標まで最大約100ノット(時速185キロ)の速度で進み、そのまま目標近くの海中で起爆するというものとなる。

約100ノットという最高速度は、魚雷としては桁違いに高速なものとなるが、
ロシアはこの高速性を実現するために、無人潜航艇内に小型原子力機関とウォータージェットのシステムを搭載するという、
技術的に極めて革新的な設計手法を採用した模様となる。

射程距離は、1万キロ(もしくは連続で100時間航行が可能)となり、
太平洋の端から端まで、余裕に到達できるものともなっている。

ただし、約100ノットという最高速度は非現実とする見方も生じており、
正確な実態はまだ判っていない。

米国は近年、弾道ミサイル防衛構想の元で、各種の弾道ミサイル迎撃システム(Anti-Ballistic Missile)の開発を進めてきたが、
ロシアは、ABMの開発を進めることは、超大国間の核による均衡を崩すものとして、
一貫としてABMの開発・配備には反対の意向を示してきた。
しかし、米国は、ロシア側の反対を押し切る形で、ジョージ・W・ブッシュ政権当時の2002年にABMの配備に制限を加えたABM条約から一方的に脱退。
これにより、ロシアは対抗措置として米国のABMを突破可能な新しい核兵器の開発に着手していた。

ロシアは既に、今年に入ってからは、ミッドフェーズでもターミナルフェーズでも迎撃は困難な極超音速で飛行する次世代弾道ミサイルの飛行実験にも成功していた。