欠点ととらえるか、むしろ日本人にあった制度といえるかもしれないが
英米仏独ソ各国軍との大きな違いとして年功序列が異常なほど著しい点があげられる

平時はともかく戦時となった各国軍には30歳代の将官は珍しくなかった
特に独ソでは、戦功能力に応じ30歳代の将官がごろごろしていたのに対し、
日本軍は最期まで年功序列を貫き通した

大戦末期、国運をかけて本土決戦を戦おうという、その最高司令官たる第一総軍杉山元帥、第二総軍畑元帥は
陸士12期の同期なのである、なんたるバランス人事

当時の戦記や軍人の回顧録や伝記では、軍人さんの人となりを紹介するのは、
出身地は万国共通で、戦功や叙勲も当然あり、ドイツや日本では貴族とか士族とかの紹介や
嫁は誰それ将軍の娘とか閨閥の記載もあったりする

ここで日本に際立って特徴的なのが、陸士何期、海兵何期という注釈である
他国の本では士官学校の卒年などほとんど重要視されないのであるが
わが国では、これがないと、話が始まらないほどに重要な事項なのである

ちなみにこの習慣は、現代日本にも引き継がれ、霞が関の官僚の入省年次がどうとか
民間でも銀行の入行年次がどうだから次の頭取はとか経済紙で重要視されているのである

といっても抜擢主義は能力評価を正確にできなければあっさりえこひいき化するし
出る杭は打つべしという日本の空気には向かず、無理に抜擢人事をするより
年功序列の方がフィットしていたという考えもあるだろう