その地理の枷から、反近代的な文化を維持していくことでしかエリート層が安定を得られ
ないシナ。そのシナが、近代国家を理想として明治維新を遂げた日本と、同盟してくれる
だろうと思ったのだ。
 石原には、反近代的な文化の統一シナ国家は、必然的に、すぐ隣に位置する近代的な
日本を敵視するようになって、日本を滅ぼすか無力化しようと務めるという地理的な運命が、
覚れなかった。
 だから昭和12年に蒋介石から堂々と対日戦争をしかけられると、石原は、もうどうして
良いのか、分からなくなった。