212Aが動いてないの経緯を書いてみるけど、まずそれまでの経緯。
冷戦時代のドイツ海軍
小型水上艇、小型潜水艇による海上奇襲、コマンドの上陸の警戒・阻止→小型哨戒潜水艦
冷戦後のドイツ海軍
NATO拡大によりポーランド、バルト三国などに進出しバルト海に来寇するロシア艦隊の邀撃
ポーランド戦線北部に展開する在ポーランド米軍への対地支援→212A

もともと冷戦時代のドイツ潜水艦は大戦時の活動からNATO内部から非常に警戒され
その装備化に反対が多く、機能の制限、ドイツ軍内でも予算も極めて限られてきた。
冷戦後にもなると警戒感が緩和されたのだが、こういう経緯もあってドイツ潜水艦隊は
軍内部で非常に立場が弱く、外洋化に予算面から潜水艦隊内からも不安視されてきた。

冷戦後のNATOとドイツ海軍の協定で2隻が哨戒という形になり212Aは哨戒、整備、
休養で各2隻計6隻になる。
212Aが稼働なしになった時の他の艦は2隻(U33、34)は定期整備中、U32は
バッテリー故障で修理中で動かない。
他にU31があるが予算不足で乗員定数が大きく割れ、最古参のU31は近代化改修に
時間がかかり、その間に乗員を他に転用されたからで動かせなくなっている。

実際に予算をきちんと用意してあるならば7月に故障したU32の修理は潜水艦専用の
ドッグで予備部品で修理が終わっているはずだが、ドッグも部品も予算不足で存在しない。
U35のXラダーにしても予備部品の予算があればすぐに修理できたが予算がなく
来年度の予算で部品を確保しなければならなくなっている。
ここまで予算不足になったのは何故か。

もう一隻のU36、これは特殊な事情で改修中にあり、これが予算崩壊の原因になる。
ドイツは2015年から軍備増強になり海外展開能力の拡充、NATO戦線の東方拡大に
合わせた軍備の再編が進められた。
この計画でU36は海軍特殊部隊運搬艦に指定され別予算で改修となったが、
ウクライナ危機からNATOは陸軍装備の予算をドイツに命じられたのでカットされてしまい、
すでに船台にあり潜水艦隊の予算で実施となった。これで潜水艦隊予算は破綻してしまった。