日本はこれでええんか?


59歳「派遣に堕ちた」困窮男性が見続ける夢
勤続10年、時給は「40円」上がっただけ

大みそか、街はどこも浮かれていた。札幌市内のある商業施設の駐車場入り口。
家族連れなどを乗せた車両がにぎやかに行き交うそばで、案内板を掲げた誘導員のヨウジさん(59歳、仮名)は
黙々と立ち続ける。

気温は昼すぎには氷点下に。黒っぽいコートを重ね着し、
分厚い手袋と耳あてで防寒しても、顔の筋肉はこわばり、足先の感覚はない。

駐車場管理員として勤続10年。この間、時給は840円から880円に、40円上がっただけだ。
年収は200万円に届かない。
寒冷地手当もボーナスも住宅手当も家族手当もゼロ。
あまりの待遇の悪さに、特に若者が定着しないという。
1年間で職場の顔ぶれの半数が入れ替わることも珍しくない。
最近は募集をしても人が集まらないと言い、人員が足りないため、本来1時間の昼休が30分しか取れない。
会社は商業施設を中心に複数の駐車場管理を請け負っており、ある現場では、10日連続の勤務を強いられた同僚もいるという。
会社の方針が変わり、ここ数年は有給休暇も取れなくなった。
いずれも法律や就業規則に違反している可能性が高いが、職場で声を上げる人は誰もいない。

かつてヨウジさんは職場環境について愚痴をこぼしたとき、そばで聞いていた年下の正社員から
「契約社員が何言ってるんだ。二度とそういうことは許さない」と語気荒く、一蹴されたことがある。

以来、職場でモノを言うのはやめた。
不満のある者は黙って辞めていき、彼のように再就職口を見つけるのが難しい中高年以上の働き手はとどまる代わり
に口をつぐむ――。
いつのまにか、そんな「ルール」が出来上がってしまったのだという。

http://toyokeizai.net/articles/-/208228