対馬の砲台では、山の上から眼鏡で水上の敵艦を観測して、俯角から距離を割り出す
武式(ブラッチャリーニ)測遠機という機材などを輸入して使っていた。

これはハワイ砲台などでも採用していたが実用測距距離10kmの旧式なもので
後にアメリカは軍艦用測距儀を使うようになる。

陸軍は後に八八式海岸射撃具を開発採用しているが、軍艦の機材と比べ旧式で能力が低く
近距離ならともかく、遠い距離での射撃は非常に困難だった。

要塞砲の射法も明治時代からほとんど変わらず、洋上を高速で動く艦船を相手するのは無理で
演習では最大速力2〜3ノット程度の標的を撃つのが精々。

「大艦巨砲に対しわが国の要塞は殆ど無価値となり」(”砲兵沿革史”より)というのが日本陸軍の現実の認識