結局戦艦伊勢の起工は長引くシーメンス事件の影響によって大正5年初頭にまでずれ込んだが、
そんな最中にもアメリカは36cm砲12門艦の建造を次々に始めており、
軍令部からは「建造中の米戦艦に優越、最低でも拮抗する砲火力だけは絶対に確保すること」と念押しされていた。
となると、34.3cm砲では12門ですら不足と言う事になる。
そして34.3cm砲の大量搭載方法にあたり砲塔の多連装化も協議されたが、
三連装砲はほぼ一からの再設計となってしまい、連装砲のライセンス生産すら端緒についたばかりの中では無謀過ぎた。
(と言うかシーメンス事件での遅延が無ければライセンス連装砲搭載すら間に合わないようなギリギリのスケジュールで敢行している)
四連装砲は連装砲架を2基連結する構造にすれば設計問題こそまだマシであったが
連装砲塔ですら初搭載の扶桑が各所で問題を起こしていたにも拘らず推定1,200tにもなる砲塔は
明らかに手に余る規模であったために、結局これも断念された。となると…

伊勢型戦艦「伊勢」起工1915 竣工1919
常備排水量30,200t 船体215×28.2m
最大速力 22.5kt 40,000HP 直結タービン2基4軸 混焼缶24基
45口径34.3cm砲 連装 7基(三年式34.3cm連装砲)
50口径14.0cm砲 単装24基
40口径 8cm高角砲 単装 4基
53.3cm魚雷発射管 単装 6基
舷側 127−254mm、砲塔279mm