日本人だけが知らない「核の冬」の真実  (JBプレス 5/13)
(前略)
■ 核爆発では気温低下は起こらない
この湾岸戦争による検証の結果、欧米では「核の冬」は妥当性を失った“仮説”として認識されるようになり、関連する研究は一部の
研究者によって続けられてはいるものの、下火になりました。

ところが、この湾岸戦争における「核の冬」仮説論争は、日本のメディアではほとんど報道されなかったと記憶しています。
結果的に、日本では現在も「核の冬」は妥当性のある“理論”だと信じられています。
そして、日本語版ウィキペディアの記述にも、それが表れているというわけです。

恐らく、現在の日本では、核抑止を肯定し、核兵器の有用性を認める保守派の方でさえ「核の冬」は間違いがない理論だろうと考える
人が多いでしょう。
(中略)
確かに、核攻撃が行われれば、火災による煤煙だけでなく、微細な土砂も粉塵として巻き上げられます。
しかし、核兵器がいかに強力であるとはいえ、人類の力は自然の前では微力なものに過ぎません。
核兵器によって巻き上げられる土砂の粉塵は、火山が吹き上げる粉塵と比べると、微量にすぎないと分かっています。
これは、計算だけでなく、かつて行われていた地上における核実験を観測した結果として確認されています。

なにより、1980年頃までは、多くの国が、合計すると数百回にも及ぶ地上核爆発実験を行っていますが、この実験が巻き上げた
土砂粉塵による「核の冬」は起きていません。

そもそも初期の「核の冬」研究を通して、核爆発による土砂粉塵の程度では気温低下が起こらないという結論が出ていました。
その前提があったため、セーガンらは、火災による粉塵であれば成層圏まで上昇し「核の冬」を起こすかもしれないという発想から、
いわゆる「核の冬」仮説を唱えたのです(この辺りの経緯も、英語版ウィキペディアの「Nuclear winter」のHistoryの項には書いてあります)。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190513-00056337-jbpressz-int&;p=4

「征途」でも所謂「核の冬」理論は誤った仮説として扱われてたな