ハイパーインフレで経済悪化…ベネズエラ「希望」手届かない (産経 5/18)

大統領選の投開票が20日に迫った南米ベネズエラ。首都カラカスでは選挙戦の熱気はほとんど感じられず、多くの人々は
日々の暮らしに追われていた。 「赤ん坊のミルクも買えない」「年金だけじゃ暮らしていけない」。
わずかな現金を求めて銀行のATM(現金自動預払機)にできた長蛇の列からは生活困窮を訴える声は聞かれるが、選挙に
ついては口が重い。
悪化し続ける経済の改善策が候補者たちから示されないうえ、独裁傾向を強めてきた反米左翼マドゥロ大統領の再選が
予想される中、人々からは希望が失われつつある。

「もう3時間半も並んでいるわ」

生後2カ月の女児ジャンケラリスちゃんを抱え、ATMの列に並んでいたマリソール・バラガスさん(27)は疲れ果てたように
こぼした。 毎朝、子供を学校に送った後に列に並ぶが、一度に引き下ろせる上限額は2万ボリバル、日本円では約32円にすぎない。

ハイパーインフレーションに歯止めがかからず、出回る紙幣の数が圧倒的に不足。数少ない紙幣を人々が奪い合うような状況だ。

「それだけじゃクッキーや飲料水も買えない。 でもバスに乗るには現金がいるから」と語るバラガスさん。
食料の調達はままならず、「この娘のミルクも買えないので、パスタやコメをゆでたお湯に砂糖を加えてあげているの」と苦しい
状況を訴えた。

朝7時半から4時間以上待ち続けていた年金生活者のブラス・アグデロさん(65)は、1カ月分の年金240万ボリバルを下ろしに来た。
「これだけではとても暮らしていけない」と語るが、大統領選についてたずねると、野党指導者らを次々と投獄、公職追放した
マドゥロ政権を気遣うのか重く口を閉ざしてしまった。 (続く)