>>741

従来の調達において、競争を通じた価格低下が機能したかについて、
防衛省の研究所で出された論文で、こんな指摘がされてます。


  「日本の防衛産業は今後如何にあるべきか?」
防衛研究所紀要 第 12 巻第 2・3 合併号(2010 年 3 月)


http://www.nids.mod.go.jp/publication/kiyo/pdf/bulletin_j12-2-3_6.pdf

装備品国産化の直接的結果は価格高騰であり、外国製品に比べて 3 倍の価格となっている。

日本の防衛装備品市場は少数企業による寡占の様相を示しているが、受注の利益は防衛
産業界全体に分配されるべきだという暗黙の了解がある。これは「住み分け」と呼ばれる
もので下請け企業が生産能力を維持する手段でもあるが、その一方で主契約企業は技術力
や価格に基づいた下請け企業の選別ができなくなる。よってこの方法は、明らかに費用対
効果を阻害する。つまり主契約企業は自社の利益を最大化するために最良の下請け企業を
選定することはなく、また下請け企業間の競争を通じた経費削減も行わないのである。

「住み分け」という原理に基づいて次回には自社が下請け業者となるかもしれないので、
主契約企業は交渉の場で下請け企業に厳しい要求を突きつけることもない。

防衛装備品の生産契約がこのような形で防衛省により事実上保証されたものであるという
現実は、生産効率性や低価格化を推し進めるという企業側の意思を喪失させてしまうのである。