アルツハイマー病はヘルペスウイルスが原因であることを裏付ける研究論文が発表される
https://gigazine.net/news/20181022-alzheimer-evidence-herpes-virus/


口唇ヘルペスを引き起こすことで知られる単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)は、アルツハイマー病に関与するウイルスの一種であると考えられています。
HSV-1は幼児期に多くの人々に感染し、末梢神経系の脳および脊髄以外の神経系の一部に休眠状態で潜伏します。
HSV-1に感染した人がストレスを受けると、ウイルスが活性化し、口唇ヘルペスなどを引き起こす原因となります。

このHSV-1が高齢者の脳にも存在することは、1991年に公表された研究論文の中で明らかにされました。
また、1997年に公表された研究論文では、アルツハイマー病の危険因子であるアポリポ蛋白質E遺伝子多型の1種であるAPOE4とHSV-1が同時に脳内に存在する場合、
アルツハイマー病を発症する危険性が高くなることが示されています。

HSV-1は脳内で繰り返し活性化する危険性のあるウイルスで、脳に累積的な損傷を引き起こす可能性が示唆されています。
また、脳にAPOE4とHSV-1が同時に存在する場合、アルツハイマー病を発症する確率はどちらの因子も存在しない場合と比べて12倍も高くなることも判明していました。



実際に過去の研究から、抗ヘルペスウイルス薬であるアシクロビルがHSV-1のDNA複製プロセスをブロックし、
HSV-1の感染により引き起こされるアミロイドβの発生を抑制することが可能であることは既に明らかになっています。

ただし、この研究はヘルペスウイルスとアルツハイマー病の関連性しか示されていない点には注意が必要です。
研究はHSV-1がどのようにアルツハイマー病を引き起こすかを示したものですが、実際に「アルツハイマー病の原因はHSV-1である」と示すには、
抗ウイルス薬を用いて脳内のHSV-1を抑制するとアルツハイマー病の発症率が大きく減少することを証明する必要があるとのことです。

なお、過去に台湾で行われた大規模な集団調査の中で、抗ヘルペスウイルス薬がアルツハイマー病の予防に役立つことは実証されているため、
ヘルペスウイルスがアルツハイマー病の原因となっていることを証明できる日もそう遠くはないのかもしれません。