・映画評論家の町山智浩は「戸田奈津子の日本語字幕の誤訳の多さについて。
 今ここに自分が字幕監修する3月公開の映画の原語台本があるが、固有名詞、
 歴史的背景、専門用語、英語独特の言い回し、ジョークや反語的表現、
 暗喩について製作側による英語の注釈がついている。これが通常。
 戸田さんはこの注釈を読んでないとしか思えない」と非難している。
 一方通訳者の鳥飼玖美子は、西村博之との対談で、戸田奈津子の翻訳に
 おかしな日本語があるとの鑑賞者の指摘に対し、「限られた時間で翻訳を
 行っており、完璧じゃない字幕があるのはやむを得ない」「努力を評価する」と
 語っている。
・映画評論家の前田有一は戸田が大御所なゆえ原作が有名な作品を担当することも多く、
 そこで誤訳をしてしまったことで批判者が増え、21世紀になるとインターネットの
 普及で過去の些細なミスまで掘り返されて過剰に槍玉に挙げられた印象で気の毒であり、
 1980年代の洋画黄金期の第一人者であった空気が今でも残っていることで仕事の
 依頼も続き、来るものは引き受ける姿勢でいたら得意分野ではないSF、ファンタジー、
 ミリタリー作品で綻びがばれる時代になったと考え、中には『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や
 『ターミネーター2』のように戸田のおかげで楽しく鑑賞できた作品もあり、
 他の直訳傾向の翻訳者が80点を出しているなら戸田は満点もあれば20点の作品もある
 振れ幅が大きい翻訳者で、『父親たちの星条旗』や『ユナイテッド93』でキャプションの
 追加が多くなされたことは観客にはありがたく、戸田ばかり批判するのはおばあちゃんを
 いじめているようで彼女のほどの地位の人物に頭を下げろと要求しても無理な話で
 今更謝罪でどうにかなるものではなく、年間500本以上大小問わず洋画が公開されている中で
 限られた翻訳者の手によるものならミスも起こり得るし人を増やせばそれも減らせられるが
 入場料に跳ね返ってくる可能性もあり、多少のミスはおおらかに見守った方がいいと、
 辛口と言われる前田の映画評論のスタンスとは違う諦観のようなコメントした。