プリゴジンの反乱に熱狂したロシア

プリゴジン氏の投稿には瞬時に「いいね!」が付いた
プリゴジン氏の反乱をロシアの人びとはどう受け止めているのだろうか?
武装蜂起の宣言を行った6月23日夜から24日に未明にかけて、モスクワ時間では深夜の2時や3時にもかかわらず、プリゴジン氏がSNSテレグラムにロシア語で次々と更新する音声メッセージは一瞬で数十万回以上再生され、ハートマークやライク(いいね!)で埋まっていく。
ロシアの独立系メディアは数分と間を置かずに、プリゴジン氏やワグネルの一挙手一投足を速報し続ける。
それから反乱が収束するまでおよそ24時間、プリゴジン氏のニュースが一瞬たりとも途切れることはなかった。
衝突への恐れと同時に、ロシアの国中が異様な興奮に包まれているようでもあった。

プリゴジン氏にロシア人が同調しやすかった理由

ナワリヌイ氏の釈放を求めたデモではトイレ用ブラシが掲げられた(2021年1月31日)
今回のプリゴジン氏の行動には、ロシア人が同調しやすい理由がある。
断っておくと、プリゴジン氏はソ連時代に強盗や売春斡旋などで9年間、服役している凶悪犯だ。脱走したとされる兵士の頭をハンマーで殴りつぶすなど残忍な人物として知られている。道徳的にも決して英雄視されるような人間ではない。
にもかかわらず、プリゴジン氏の蜂起のメッセージに大量の人びとが耳を傾け、テレグラムでは、ほとんどの人がハートマークやライクなど肯定的なボタンを押している。例外は“撤退宣言”の投稿だった。
それは、プリゴジン氏の訴えが、国防省や権力者の「汚職」「欺瞞」「官僚主義」にむけられていたからだろう。
ロシアの人びとは伝統的に権力の腐敗や汚職というものへの拒否感が強い。
意外かもしれないが、アレクセイ・ナワリヌイ氏の主張もほとんど同じだ。
「プーチン氏の最大の政敵」とされるナワリヌイ氏と、「プーチン氏の料理人」とされるプリゴジン氏。一見、正反対のようにみえる2人だが、主張の根っこは同じなのだ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/b6843ffd75fac9b49dc4dc32af2ff6abc17f66ef?page=2